数ある「日本ならでは」の中でも、多くの人が楽しみにしている「桜の花見」。
今回は、気になる「桜の開花」に関して、「開花宣言」の基準となる「桜の標本木」に着目してみました。
標本木とは何なのか、いくつ花が咲くと開花宣言が発表されるのか。
また、誰が標本木を選ぶのか、その選び方などをまとめています。
標本木に詳しくなれば、今年のお花見がより一層楽しめるかもしれません♡
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桜の開花宣言の基準となる標本木とは?
桜の開花宣言には、「標本木」という役割を担う桜の木の存在が必要不可欠です。
標本木とは、桜に限らず
「開花状況などを知るための指標として扱われている植物の個体」
と定められているもので、正式には「植物季節観測用標本木」と言います。
桜の他にも、梅などの植物は標本木があり、気象庁監修のもとに観察が行われているのです。
知らなかったという人も、1年を通して様々な種類の植物を楽しめる日本だからこそ、ぜひ今は何の植物が美しく見られるのかを調べてみてくださいね。
全国にある「桜の標本木」は、そのほとんどがソメイヨシノなんです。
日本産の桜であるだけに、重要な役割を担っているのですね。
ちなみに、桜の開花が一番早く始まる沖縄県は「ヒカン桜」、一番遅く終わる北海道は「エゾヤマ桜か千島桜」が指定されています。
沖縄県や北海道の気候では、ソメイヨシノが育たないことからこれらの品種が生まれているのですが、それぞれに違った特徴があるため見る人を楽しませてくれますよ。
▼写真は、東京都にある「靖国神社」の標本木です。
歴史ある建物とのコラボレーションは、まさに「日本の春」を感じさせてくれます。
標本木の選び方は?
では、桜の開花情報を知るために最も重要な標本木は、どのように選ばれているのでしょうか。
下の表に記載の標本木の場所について見ると、気象台が多く設定されていることが分かります。
気象庁に「標本木決め手の条件」を電話で確認したところ、
気象台がある街ごとに
木(=標本木)を特定し、その際に
・気象台から近いところ(観察しやすいところ)
・周辺の環境が変わりにくいところ(神社や公園内など)
の2つの条件を満たした木を標本木として選定している
との回答でした。
また、標本木として一度選定されても避けて通れないのは木の老齢化。
この老齢化が深刻となっている標本木も各地にあります。
また、大規模な気象災害等に遭った木は、標本木として観測できなくなってしまう場合も…。
気象庁ではこうした不測の事態に備えての対策もしっかりとっており、後継候補としての副標本木というのを予め1本選定し、さらにその後継候補も複数本選定しているのだそう。
こちらは47都道府県の標本木の位置を、メインとなるものを中心にまとめた表となっています。
みなさんの地域の標本木はどこにあるか知っていましたか?
都道府県 | 場所 |
---|---|
北海道 | 札幌管区気象台 |
青森県 | 青森地方気象台 |
岩手県 | 岩手公園 |
宮城県 | 榴岡公園 |
秋田県 | 秋田地方気象台 |
山形県 | 山形地方気象台 |
福島県 | 信夫山公園 |
茨城県 | 旧県庁舎前 |
栃木県 | 宇都宮地方気象台 |
群馬県 | 前橋地方気象台 |
埼玉県 | 熊谷市荒川桜堤 |
千葉県 | 陣屋町公園 |
東京都 | 靖国神社 |
神奈川県 | 横浜市元町公園 |
新潟県 | 新潟地方気象台 |
富山県 | 富山地方気象台 |
石川県 | 金沢地方気象台 |
福井県 | 福井地方気象台 |
山梨県 | 甲府地方気象台 |
長野県 | 長野地方気象台 |
岐阜県 | 加納天神町清水川堤 |
静岡県 | 静岡地方気象台 |
愛知県 | 名古屋地方気象台 |
三重県 | 津偕楽公園 |
滋賀県 | 彦根地方気象台 |
京都府 | 京都地方気象台 |
大阪府 | 大阪城西の丸公園 |
兵庫県 | 神戸市立王子動物園 |
奈良県 | 奈良女子大付属中等教育学校 |
和歌山県 | 紀三井寺本堂 |
鳥取県 | 鳥取城址久松公園 |
島根県 | 松江地方気象台 |
岡山県 | 岡山後楽園 |
広島県 | 縮景園 |
山口県 | 下関地方気象台 |
徳島県 | 徳島地方気象台 |
香川県 | 栗林公園 |
愛媛県 | 道後公園 |
高知県 | 高知城公園 |
福岡県 | 福岡菅区気象台 |
佐賀県 | 佐賀地方気象台 |
長崎県 | 長崎地方気象台 |
熊本県 | 熊本市西区の古町小学校 |
大分県 | 大分地方気象台 |
宮崎県 | 文化公園 |
鹿児島県 | 鹿児島地方気象台 |
沖縄県 | 末吉公園 |
各地方の気象台構内に標本木がある都道府県も多いですね。
▼写真は、三重県津市の「津偕楽公園」の桜。
水面に浮かんだ桜の花びらが、風情ある情景を作り出してくれています。
桜の開花宣言の基準はなに?
「靖国神社」などを始め、全国各地に標本木が存在することがわかりました。
ここで気になるのが、標本木が「どのくらい」咲いたら開花宣言が発表されるのか、ということ。
桜の開花宣言を行っているのは、全国各地の気象台です。
ここにお勤めの気象庁の職員たちは、時期がくると毎日決まった時間に標本木の観察を行うことになっているのです。
言うなれば「桜のベテラン」の彼らは、目視で標本木のつぼみを確認します。
ここで確認できた花の数が「5~6輪」以上であれば、見事開花宣言となるのです♡
▼写真は、開花宣言当日の靖国神社の標本木です。
おしべとめしべがみえる状態が開花だそうです。
さくらの開花日とは、標本木で5~6輪以上の花が開いた状態となった最初の日をいいます。因みに満開日とは、標本木で約 80%以上のつぼみが開いた状態となった最初の日をいいます。
出典:気象庁
まだまだ眠っているつぼみが多い状態ですが、まさに「開花の皮切り」である初めの数輪ということですね。
▼写真は、「鳥取城址 久松公園」の桜です。
広い敷地に見渡す限りの桜の木、全身で春を感じることができそうです♡
標本木を選んでいるのは誰?
各地の気象台などが観測を続ける58本の標本木、この標本木は気象庁によって選ばれています。
前述のとおり各気象台の敷地内、もしくは気象台の周辺で環境の変わりにくい場所にある木が選ばれているわけですが、木の老化、もしくは環境の変化によっては、標本木が変更となる場合があります。
天気予報や災害情報でおなじみの気象庁ですが、日本の自然に関しても大切な役割を担ってくれているのですね。
▼写真は、宮城県の「榴岡公園」の桜です。
毎年大勢の人でにぎわう桜祭りを始め、宮城県内でも有数の桜スポットとして知られています。
「桜の開花宣言の基準となる標本木とは?標本木の選び方や開花宣言の基準はなに?誰が標本木を選んでいるの?」のまとめ
▼写真は「大阪城 西の丸公園」の桜です。
今も残る大阪城との風景は、まるで絵画を切り取ったかのような美しさです。
気軽に見に行ける桜を楽しむも良し、遠出をして思いっきりお花見を楽しむも良し!
お花見にお出かけの際は、ぜひ「標本木」の開花情報も合わせてチェックしてみてくださいね♪