現在日本で職に就いている人々のうち、「正社員」や一定の基準を超えるパートタイマーには社会保険が適用されていますね。なじみ深いものとしては「健康保険」や「厚生年金」などがあり、保険料が給与から控除されています。
しかし、労働時間が少ないパートタイマーやアルバイトなどの「非正規雇用者」と呼ばれる人々は、社会保険ではなく「国民健康保険」や「国民年金」に加入する必要がありました。これは自ら保険料を納める必要があり、給与の中でやりくりをしていた人も多かったのではないでしょうか。
そんなパート労働者たちに向けて、2020年5月に参院本会議で成立したのが「年金制度改正法」です。これまでの加入条件を大きく見直し、社会保険の適用内となる人々が大幅に増える計算になります。
今回はそんな「年金制度改正法(2020)」の中身に触れながら、パートで働く人々が社会保険に入るための条件をまとめてみたいと思います。「労働時間が20時間を超えると、社会保険への加入が義務化される」などの気になる情報の真偽にも迫っていきましょう。
ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
▼パートナーの扶養となっている「第3号被保険者」の皆さんは、処遇が変わる可能性があります。
第3号国民年金被保険者からバンバン保険料取ったるでってことね😚
できることならば第3号国民年金被保険者を無くしたいんだろうな年金制度改革関連法が成立 どう変わる?課題は? | NHKニュース https://t.co/RNKGyjlUNm
— ヨーロッパ (@468ClariS) May 29, 2020
目次
パートの社会保険適用拡大|新たな加入条件(2020)とは?20時間で加入義務化?
では、パートで働く人々が社会保険に加入できる条件を見てみましょう。
引用元:厚生労働省HP
▲▼ピンクの部分を拡大しました。
引用元:厚生労働省HP
図のピンク色で示された部分が、今回の法改正で新たに条件となった部分です。2016年10月から段階的に法律の見直しが行われてきましたが、今回は主に2つの要件が大きく変更されました。
1つ目に「従業員500人超の企業等」だったのが、最終的には「50人超の企業等」まで引き下げられるということ。
そして2つ目に「勤務時間1年以上見込み」だったのが、一律「2ヶ月超」となることです。それぞれの点について、さらに詳しく見ていきましょう。
▼新聞にも大きく取り上げられていましたね。
社説です。「厚生年金の加入対象者が広がることになった。支え手を増やし年金財政を安定させるための年金制度改革関連法が成立した。非正規労働者の場合、現在は従業員数が「501人以上」の企業に勤めている人だけが加入することになっている。「51人以上」まで対象を広げる」https://t.co/4p4DPPOUCh
— 小川一 (@pinpinkiri) June 5, 2020
パートの社会保険適用拡大|企業規模に係る要件
まずは1つ目の「企業が雇っている従業員の人数に関わる要件」について。これは勤めている企業の情報となるため、労働者側が何かをチェックする必要はありませんが、知識として頭に入れておきましょう。転職を考えているという人も要チェックです。
▼企業側は労働者1人当たりの負担が増えることになり、入念な準備が必要となりそうです。
年金制度関連改革法が成立しました❗
社会保険の加入対象者が拡大しますね💡政府の試算では今後段階的ではありますが、新たに65万人が加入の対象になるそうです😲
会社からすると社会保険料負担額が増加します💦
早い会社では約2年後です😱どんな準備をしていきますか⁉️https://t.co/FyTw63JXbl pic.twitter.com/qMAClIJKAP
— ゆう@開業社労士3年目 (@yu0107ta) June 2, 2020
従業員数とは?
最初は週の労働時間が30時間を超えるパートタイマーのみが社会保険に加入することができました。2016年には、1度大幅な法改正がされています。しかし週の労働時間は20時間以上と短縮されましたが、在籍している企業が501人以上の従業員を雇用していなければならなかったのです。
この部分は今回の法改正により、段階的に引き下げられることになりました。2022年10月には「101人以上の労働者がいる企業」までが適用となり、2024年10月には「51人以上の労働者がいる企業」にまで範囲が拡大されるのです。
他の条件も加味した場合、最終的な2024年にはなんと新たに65万人もの人数が健康保険や国民年金に加入可能に!これは現在「非正規社員」として働いている約2165万人の3%に及ぶ数字なんです。
従業員数判断のタイミング
しかし、毎日従業員数が変動している企業にとって、いつの従業員数が判断の基準となるのかわからない…という方も多いと思います。
今回の法改正では、「直近12ヶ月のうち、半分である6ヶ月で基準を上回った場合」に適用されるとのこと。つまり、2024年以降であれば、1月~6月の間に51人以上の従業員を抱えている企業は適用対象となります。
また、1回適用対象となった企業は、その後従業員数が減って50人に満たない場合であっても、原則として適用されたままなんだそう。ちょうど50人程度の従業員数である企業は、数字を逐一チェックしておく必要がありそうですね。
パートの社会保険適用拡大|労働者に係る要件
次は、労働者本人が気にしていくべき条件です。転職をするときはこの条件を参考に、現在自分の保険加入状況がどのようなものなのかを判断しましょう。
▼社会保険加入に伴い、年金の支給についても開始時期が遅れる場合があります。
自分の寿命がわからないので、75歳から受け取ったほうがお得な気もするけど、それはしっかり労働収入がある人かと思う。会計士さんは速く受け取り始めたほうが金額は減っても長期だとお得だと言っている。 / “年金制度改革関連法が成立 どう変わる?課題は? | NHKニュース” https://t.co/Mx5Q6IiCON
— godmother (@godmother6) May 29, 2020
勤務期間要件は撤廃
今までは「勤務期間が1年以上であること(見込みを含む)」が条件として挙げられていました。これはパートタイマーなどの短時間労働者に課された条件だったのですが、今回の法改正で撤廃されることが決定しました。
これにより、パートタイマーやアルバイト、正社員などの雇用スタイルに関わらず、一律「勤務期間が2ヶ月を超えていること」という条件が適用されることになります。
勤務開始から1年を区切りとして転職をする人も多い中、2ヶ月を超えたところで社会保険に加入可能になるのは大きな変化です。
雇用契約が2ヶ月以内でも実態として2ヶ月を超える場合は遡及適用
また、雇用期間が2ヶ月以内であっても、契約書等に実態からみて「2ヶ月超の雇用」についての記載がある場合は社会保険の遡及適用が可能とされています。過去に同一の事業所内で、「最初の雇用契約の期間を超えての雇用」という事例があった場合も同様です。
そして、明記されてはいませんが、それまでの2ヶ月間で週の労働時間が連続で20時間以上となり、なお引き続くと見込まれる場合も、遡及適用される可能性が高いと言われています。
パートの社会保険適用拡大|加入条件のまとめ
最後に、今回の法改正で新たに加わった条件と、変わらずに課されている条件をまとめてみましょう。
・規模が101人以上の企業であること(2022年10月から)
・規模が51人以上の企業であること(2024年10月から)
・雇用契約が2ヶ月超であること(または2ヶ月超となる見込みがあること)
・週の労働時間の合計が20時間以上であること(残業などの臨時的時間は含まず)
・月の賃金が8.8万円以上であること(時間外労働や賞与、手当などは含まず)
・学生でないこと
以前から変わらない条件のうち、「月の賃金が8.8万円以上」というのはかなり浸透していますよね。これは年に換算すると「105.6万円」となります。しかし、残業や休日出勤などで臨時的に発生した労働に伴う額は含まれない、というのは、知らなかったという人も多いのではないでしょうか。
▼実際に適用された後、明らかになった成果や課題にも注目したいところです。
みんなが「金よこせ!」と叫んでいる中、こっそり年金制度が変わりましてね。
厚生年金の適用範囲が広がったんですが、これは同時に、厚生年金保険料を徴収される低所得労働者が増えることでもあります。
さてどうなるか。年金制度改革関連法が成立 どう変わる?課題は?
https://t.co/H09ZgkMh5E— 尾野里梨@毎日が自由研究 (@onosatori) May 30, 2020
まとめ
▼この法の今後の更なる改正にも期待が集まっています。
【Facebook更新】#城井崇🌷
年金制度改革関連法が成立しました
パートなどで働く方々が厚生年金に加入しやすくなるなどいくつかの改善はありますが基礎年金の拡充など抜本改革は先送りになっています#国民民主党 #つくろう新しい答えFacebook▶️https://t.co/Bopdu3dXwDhttps://t.co/6t2lr4QwrC
— 国民民主党 九州・沖縄地方応援 (@dpfp_9syu_oknw) June 1, 2020
社会保険への加入ができるかどうかわからない、という人は、ぜひこの記事を参考に自分の仕事についての情報を整理してみてください。自分の現状をしっかり頭に入れ、国から受けられるサービスをしっかりと活用していきましょう。
これからも変わらずに進み続けると言われる「高齢化」。働き盛りの世代への改革は、これからも次々と行われることが予想されます。
労働形態の違いに関わらず、すべての人が働きやすい社会になることを期待したいですね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
細かい事をあまり書かないで簡潔に。
(1)週20時間以上の労働で適用
(2)月額8,8万円以上で適用
(3)2022年10月より従業員101人以上で適用
*現行は501人以上で適用
(4)雇用期間が2か月超えで適用
2022年10月より501人→101人への変更により、現場の雇用では、かなり違ってくると思います。良いことだと思います。
パートの4時間労働なら、週5回で適用
パートの5時間労働なら、週4回で適用
モンキー様、コメントありがとうございます!
まとめにも書いていますが、さらに制度が良い方向に改正され、すべての人が働きやすい社会になることを期待したいですね。